生没年不詳。

宮廷の女官かと思われる。

大津皇子の恋人としても有名である。

大津皇子との相聞の他に、草壁皇子からも恋の歌を

贈られている。

しかし、この二人の貴公子達から求愛された石川郎女と、

美青年として有名だった大伴田主に積極的に求愛した、

石川郎女と同一人物だとする見方もあるが、

確証はないらしい。同じ呼び名である事と、どことなく、歌風が似ているような気がするから程度の根拠らしい。

しかし、「万葉集」には、実に五人もの石川郎女と呼ばれる女性が

存在しており、やはり、大津・草壁皇子から歌を贈られた石川郎女と、

この石川郎女が同一人物だと確定する事は、困難なようです。

やはり、歌からだけの推測は、限界があるのでしよう。

 

 

 

 

 

 

「万葉集」巻第二巻  一〇八 吾を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづくに成らましものを

 

 

 

意味 私を待つとてあなたがお濡れになったという山の雫に、

私はなりたいものです。

 

 

 

 

あなたを待っていたら、すっかり山の雫に濡れてしまったよという

大津皇子に対し、あなたが待っていた山の雫になりたかったわ、

と大津皇子の歌の文句を取り入る才知を見せ、

その上でコケティッシュに甘えてみせる石川郎女、

やっぱり、宮廷の女官として世慣れた、そして小悪魔的な女性という

感じがします。

あまり悲劇のヒロインという感じはしないかな。